極・ウイスキーノート

ウイスキーについて調べたことの共有と、カフェバーの経営で感じたことをつらつらつづっています。

極貧からの世界一のビッグブランドへ『アードベック』

「from poor to world wide big brand」


ARDBEG TEN
Scotland-Island of Islay
single malt alc.46% vol.
MHD


1815年、アイラ島南部の小さな岬にアードベック蒸留所が設立された。「アードベック」は、ゲール語で「小さな岬」の意味。


2015年で創業200年を迎え、ボウモアやラフロイグと並びアイラの雄と呼ばれているが、その道程は波瀾万丈そのものだった。酒税法改正で原価の30倍近い税金がかけられたり、1981年や1996年など操業停止を何度も経験している。


その極貧時代の有名な逸話がある。
新しい所員が蒸留所を訪れた際に、壁に靴の空箱がかかっていた。これを不思議に思い箱をどけてみたら、そこには電気ブレーカーがあった。要はブレーカーカバーを修理するお金にすら困っていたのである。それが今、オーナーはルイヴィトンと同じ母体のMHDである。良いものはいつの日か評価される。


そして何より操業再開が1997年で、まだ20年そこそこしか経っていない。まだ新生アードベックは始まったばかりだ。これからの成長を伴に体験していくことが出来るのである。


アードベックの味わいは、まさに「癖があるがハマる」アイラモルトを体現している。小さな岬に吹く爽やかな潮風の薫りと、微かな柑橘系の薫り、そしてこれがアイラモルトと言わんばかりの強烈なスモーキーさを持つ。チョコレートやシナモンスパイスのような仄かな甘い薫りを探す楽しみもある。


華麗なる転身と、強い個性を持つオールドルーキー。それがアードベック。